今回も伊勢海老が用意されました。伊勢海老と言えば道場流の具足煮などがお店では人気の定番メニューになっています。刺身でお出しすることもありますが、何らか火を入れるなどの仕事をした伊勢海老が好きだと言っていました。今回は半身にして鬼殻焼きですが半身をそれぞれ紅白にした「源平焼」。日本料理では赤みそと白みそを使い分けるなどして、源氏と平家の紅白に見立てる昔ながらのやり口です。今回は塩と道場流の魚ダレで紅白を表現しています。
活き伊勢海老は手際よく半身に割ります。美味しい味噌は丁寧に扱って・・・。
直火でグリルするために、それぞれの身に串を刺します。ろくさん亭の宮永料理長に串の位置方向など細かな指示をだしていきます。宮永料理長の仕事もスピーディ。
さされた串はなんだかシャープな直線で、デザインされたような美しさがありますね。仕事のし易さ、速さを追求した技は目にも美しいということでしょうか。
いわゆる海老ミソの部分は直火焼きで下向きにすると落ちてしまうことがあるので、アルミホイルで保護します。「昔はな、竹の皮をつかって工夫したもんだ」昔の工夫や知恵の話しは、厨房のスタッフ全員が耳を傾けます。
殻の方から焼き始めます。「目を離すなよ!」と指示が飛びます。しばらくすると磯の香ばしいなんともいえないいい香りが厨房に漂い始めます。この時点で客席で料理の写真を撮影しているスタッフもちょっとそわそわしはじめます。
程よく焼けたら、半身の片方は塩、もう片方は道場特製の魚ダレをつけながら焼きすぎないように炙っていきます。ここでもしつこく「目を離すなよ!」。でも厨房ではこの他にも御椀ものや煮物、思いつきの初めての料理が同時進行中。さらに今晩のお店の営業用の仕込みも。料理の鉄人で勝ちを手に入れるポイントは1時間という勝負時間を有効に使うことだそうです。若い頃、どうやれば人より速く仕事ができるかを徹底的に追及した経験が活きているのだと。なるほど、この厨房は鍛えられそうです。
いい感じに焼き上がったら、皿に盛って・・。でも何かが物足りない。
厨房のスタッフの「和紙にしますか?」には即「いや、和紙はいらん、天紙をそのまま使う。こうやって折って・・」
自分で手を動かしながらどんどん盛りつけのイメージを見えるカタチにしていきます。
目の前に出されたときに「色に凝りすぎたりしないで、ああ、これ美味しそうだなーと思うような盛りつけがいい。」口癖です。