もてなしの心で見える味と姿

4回目の[道場旬皿]は2011年12月12日。銀座ろくさん亭で行われました。その日は、12月だというのに穏やかな日で、道場六三郎も穏やかな表情で ろくさん亭に入ってきました。厨房には前日道場が指示した食材がずらり。いつものように筆と紙が用意されたテーブルに、あれこれ思案したメモ。そこには 「・・・女王をもてなす・・・」といった走り書きがありました。

 

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ろくさん亭のカウンター前にあるショーケースには、きりっと角の立った氷が敷かれ、昨日までに指示された魚がずらりと並べられました。特に目をひいたのはやはり鮟肝とクエ(ハタ)といった冬ならではの食材でした。

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食材は入念にチェック。同時に先に指示してあった下ごしらえの具合なども手早く確認していきます。「この鰤はどこから来たんだ?」「能州ぶりは昔献上品で・・・」興味深い話がぽんぽんと飛び出してきます。

 

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これが本日の鮟肝。キロ○万円?! こりゃフォアグラより断然高い。「でも鮟肝はお客さんに喜んでもらうためには多少高くても国産のものでないと、どうし てもだめなんだよ」なのだそうです。そして、鮟肝の下ごしらえは道場流の柔らか仕上げ。一般的なマキスで巻いて蒸したりせず、鮟肝がもともと持っている柔 らかさと味わいを活かした道場ならではの鮟肝が楽しめます。今回は95年10月6日に有明コロシアムで行われた「料理の鉄人ワールドカップ」で優勝したと きのアイデアをベースに鮟肝の旨味を引き出した料理や、昔、お客さんからの突然の難しいオーダーを迫られそのピンチを乗り越えた、当時は奇策と呼ばれた料 理など思い出の鮟肝料理を披露しました。

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昨晩まであれこれ考えたメモの一部。「エリザベスに捧ぐ」の下の方には「魯山人に・・」と走り書きが。親父さんの料理は誰かをイメージして、驚いたり喜ん でしてもらおうっていうのが重要なんですね。あの「料理の鉄人」での戦績は32勝3敗。総完成皿数は846皿にもなるそうですが、なぜ勝ち続けたのとかと 聞いてみると、「料理を食べる人のことを考えるんですよ。審査員のことを。何を喜ぶかって、そう想いやる。」そういえば、「食べ物」と「料理」は違うとい う話をどこかで聞いたことがあります。「料理」は誰かが誰かのために作るものだって。

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これはクエの薄造り。目にも美しい薄造りを見て、変な話しですがろくさん亭の料理長も絶賛。「僕ら毎日やってるのに、まだまだ追いつけないです。」そして、親父さん曰く「老いるということは、衰えるってことじゃナイんだよ。」ちなみに、ゴルフもばりばりです。

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そして、今回もチーズ料理が1品旬皿入りを果たしました。おなじみ「電動ミキサー」で作ろうとしているのは、なんと新作ポテトニョッキ。イタリアンの ニョッキとはひと味違う食感でおまけに海老が具として入っているユニークなニョッキですが、なんとも冬にうれしい優しい感じの道場和食に仕上がってました。

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ちなみに、撮影後にポテトニョッキを改めて試食しているところ。「あ、これ、うまい、うまい。」を連発してました。

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厨房から嵐のごとく次から次へと皿が出てきます。その都度料理の写真を撮影していくのですが、このペースに合わせるのが結構大変なんです。厨房からときどき「これ、もうしあげちゃっていいのかなぁ?、まだ前の写真撮ってるのかなぁ。」正直焦ります。
気がつけば完成した料理はずらり13皿。これで今年1年で[道場旬皿]は通算54皿のラインナップとなりました。

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